転倒リスクを高める病気について

高齢者の方は、若い人に比べて転倒しやすくなる。原因は体力の衰えなど事情はさまざまだが、高齢者の方が転倒する場合、病気やその後遺症が原因のケースも多いのが実情だ。

脳梗塞などの脳血管疾患の怖いところは、厄介な後遺症が残る可能性がある点で、体の片側のみが麻痺する片麻痺はよく見られる後遺症だ。片麻痺の症状が出ていると、転倒のリスクは大きく上がるので、家族や介護職員の方は注意する必要がある。麻痺している方の足を思い通りに動かすのは難しく、ちょっとした段差でもつまずきやすくなるので、できる限り段差をなくす努力が必要だ。

神経性疾患のパーキンソン病も転倒のリスクを大きく上げる難病で、各種の運動障害が起こる。パーキンソン病の代表的な症状は4つあるのだが、その中の1つの姿勢反射障害は、バランスを保つのが難しくなるのが特徴だ。高齢者の方は、加齢により反射神経などが衰えているため、パーキンソン病の姿勢反射障害の症状が見られる場合、一気に転倒のリスクは高まるのだ。

そして、介護とは切っても切れない存在である認知症も、転倒のリスクを高める厄介な病気だ。アルツハイマー型認知症は運動障害を引き起こす可能性が高く、他の認知症であっても、運動障害が見られることは珍しくはない。運動障害は必ず見られるとは限らないが、認知症を患っている方は転倒するリスクは高くなる。家族や介護職員など見守る立場の人は注意を払う必要があるだろう。

高齢になるにつれ病気や障害は避けて通れなくなることもある。介護に携わるのなら、高齢者の転倒についてよく知っておくことも大切なのだ。